2020年12月30日水曜日

築地 孫右衛門 にてランチ

 築地場外「築地 孫右衛門」にてランチしました。

○お店情報
 住所  :東京都中央区築地 4-10-14 樋泉ビル1F
 電話  :03-6264-2434
 営業時間:8:00−23:00
 定休日 :なし
 SNS  :Instagram


◇20年12月30日(水)

年越しに当たり美味しい魚介類が食べたいと言うことで築地へ
ウロウロ歩いていると以前「虎杖」があったところが「築地 孫右衛門」に変わっていました。「虎杖」は何回も来たことがあったのでちょっと寂しい。

表の看板を見て焼き魚が美味しそうと言うことで11時半くらいに入店。その時はお客さんは2組でした。焼き魚と決めて入った結果、散々悩んだ挙句、やっぱり焼き魚定食を注文。定食には茶碗蒸しと味噌汁がつきます。

まあ、普通の盛りでは足りないわけで、もう1品と言うことでお店の方に相談したら穴子がお勧めとのことで穴子の白焼きを注文。お店の方から天ぷらも美味しいよとのことで半分を白焼き、半分を天ぷらにしていただきました。

写真は撮り忘れたけど日本酒をいただきました。










2020年5月15日金曜日

下北沢で100円均一をハシゴする

下北沢には3件の100均がある。たぶん。
全てを回って欲しいものを吟味したい時が、時々ある。
今回はシモキタの100均事情について、書いてみたいと思います。

  • ダイソー大
  • ダイソー小
  • ピーコック

◇ダイソー大
南口のフーディアムが入っているビルの5階にある。
ワンフロアを全て使った広い店舗。豊富な品揃えで休日などは混んでいる。あそこなら何でもあるだろう、と頼りになる存在。
このお店の良いところは、トイレがあることである。これで何があっても大丈夫と思える。買う気のなかったバケツなど手に取り、心ゆくまで理想の生活を想像する事ができるエンターテイメントスポットである。

見回すとみな思い思いに買い物をしている。小さな子供と親の買う買わないの攻防。水切りかごを長い時間見つめている外国人。一人暮らしを始める息子と母親のやりとりも気になる。「こんなの便利よ」「いらない」

ゆっくり楽しめる100均一。階下のユニクロについ寄ってしまうのをどう抑えるかが課題である。


◇ダイソー小
南口商店街を王将方面に下り、コーヒー豆専門店「モルディブ」を過ぎるとある。
小さな店舗である。だが大きなダイソーにない商品もある。見つからないアレがここならあるかも、と頼みの綱で訪れる店。
夏場は店の外に虫取り網やビーチボールも出ていて、さながら海辺の個人商店である。
品数が多くないので、迷わない。レジに行列しなくても良い。
といったことが理由かどうかはわからないが、いつも割と混んでいる。


◇ピーコック2階
この店が出来た時に「どの100均チェーンだろうか」と思ったら、なんとピーコックオリジナルの100円均一であった。
フロアも広くあらゆる分野の商品を扱っている上に、独自のお洒落ブランドも展開して美しい生活を応援している。

ここの良い所は、いつもは1階でレジを打っているピーコックの店員さんが交代でレジを担当しているというところだ。お馴染みの店員さんのいつもとは違う面を見るようで新鮮である。

馴染みの店員さんがいるのがいい。
同じ階に中華屋さんがあるのもいい。
店内清掃の時に流れる音楽もまたいい。
お年寄りのお客さんが多い理由は他にもあるだろう。

2020年4月13日月曜日

金物屋のポーカーフェイス in 下北沢

お洒落な街シモキタ。
流行のお店が出来ると、若者たちが列をなす。長い長い列。近所の住民はそれを横目に通り過ぎる。
やがて列が短くなった頃、シモキタ住民はイソイソとその店に行ってみる。
今回はそんな流行に敏感なシモキタにありながら、変わらず動かず営業を続ける老舗、中でも金物屋について書いてみる。

  • サワダヤ
  • 秋元
  • 大木金物店

◇サワダヤ
南口商店街を王将方面に下り、初めの三叉路の手前にある。
探し物が見つからない時、サワダヤにあるかな?と口にしてしまう金物店。
店頭にはゴミ箱やスリッパ、買い物カートなど。店内には台所用品、衣裳ケース、風呂のフタ、あらゆる大きさの鍋、あらゆる大きさのすり鉢などが積まれている。

店に入ると、「いらっしゃい」とレジの奥から声がする。
店内を進むと物凄い数の日用品に目移りし、つい目的を見失う。「排水溝の網これに換えてみようか」「この踏み台いいな」など考えながら歩き、肝心の探し物は見つけられないまま、入り口付近に戻って来てしまう。さてどうしよう…とたたずんだその瞬間、「なに?」とレジの奥から声がかかる。

お客が店に入り、店内をくまなく廻り、挙げ句ボンヤリと戻って来るこの光景を、店主はレジの奥から何万回見たことだろう。
何を探しているのか早く聞きたい時もあっただろう。
お客が何も尋ねて来なかったら、声をかけない時もあっただろう。

長い年月を経た今、「なに?」と店主が声をかける瞬間は、一流剣士が顔をあげる瞬間に似ているかも知れない。


◇秋元
もう店じまいしてしまった一番街の金物店。店先には大きな青いポリバケツが置かれていた(売り物)。園芸用品も扱っていたと思う。
ここで印象的だったのは、店内にいつもクラシックがかかっていたことである。

お客のためのBGM、というよりも、カウンター奥の店主が仕事をしながら聞くための音楽に違いなかった。店主はあまりお客に声をかけないので、訪れた方も商品を眺めながらしばしクラシックに浸ることが出来る。

だいぶ聴いたあと、カウンターに行って「こういうのが欲しい」と伝えると、店主から「それには種類がある」と返ってくる。解らないので使用目的を伝える。「じゃコレで良いんじゃないか」と奥の棚から品物が出て来る。

店主はぶっきらぼうだった。ぶっきらぼうだったが、こちらの使用目的を聞いている時、どの品物が良いか考えている時、眼鏡の奥は推理探偵のまなざしであった。名探偵アキモト。相談出来る店が減った。


◇大木金物店
一番街を進み、まもなく鎌倉通りに突き当たる、というところある金物店。
道の両側に店舗があり、左は塗料など、右は工具などを置いている。

下北沢の朝は世の中の昼と言っても良いほど遅いが、ここは早くから作業服を着た客でにぎわう。客は店主と短い言葉を交わし、ポケットの金と引き換えに何かを受け取り店を出る。まさにプロショップである。

この店で紹介したいのが、奥の棚である。
右(北)の店舗をレジ方面に進んで行くと右奥に棚が見えてくるのだが、その棚の年季が半端ないのだ。
天井まであろうかという木製の棚は、濃い渋い茶色で明らかに年代物である。頑丈な板で出来た小さなマスが沢山あり、そのマスに入っている部品の数と年季がまたすごい。はみ出しているものもある。圧巻である。

今はもう製造されていない部品もこの棚にはある。今はほとんど需要のない部品もこの棚にはある。どこに何があるかは店主だけが知っている。先代の店主でなければ解らない物もある。先々代の店主でなければ解らないものもある。(きっとそうに違いない)

諦める前に訪ねれば、思わぬ何かが棚から出て来るかも知れない。


※プロショップの構えに初めは緊張するが、目的を伝えれば誰でも相談に乗ってくれる。合鍵も頼める。

2020年4月9日木曜日

下北コンビニ物語

今や街にかかせない存在、コンビニ。コンビニエンスストア。便利なお店。
しかし通い続けると、そこはただ便利なだけではない、相互観察の場となる。

店長メガネ変えた?
新人さん、慣れて来たようだ。
君、明るすぎないか。

言葉は交わさない。いや、交わしてはいけない。
ボロボロの格好で買い物に行っても、夜中に酔っぱらってお酒を買いに行っても、勢いでチキンを2本買ってしまっても、店員さんは黙って受け流してくれるのだから。
今回は、客側から勝手に見たレジの向こうの景色を書いてみる。

  • 夜勤
  • 夢のコンビニ
  • やきそば


◇夜勤
そこは小さなコンビニだった。小さいうえに人通りの少ない路地に面していて、地元の人がタバコを買うのに重宝、といった感じの渋い存在だった。

このコンビニで一番良く見るアルバイトは、ひょろりとしたメガネの青年だった。
額にはニキビ。メガネがいつも少しずれていて、この青年が笑っているのを見たことがなかった。人と目を合わせるのが好きではない、といった雰囲気で、時間があるとレジの奥に寄りかかって指をいじっていた。

ある時このコンビニに新人バイトが入った。
ショートボブの髪の毛を耳の前に垂らし、その垂らした髪の上からメガネをかけ、そのメガネの上に前髪がかぶさっている。実際の距離よりもだいぶ奥に居るような印象の、小柄な女の子だった。

青年と新人は二人とも夜勤だった。店に響くのは、小さな「いらっしゃいませ」の声と店内放送。静けさの中でも息苦しいタイプの静けさ。思えば数々の元気なバイトがここを辞めて行った。店のどこからも、ガスは抜けていなかった。

何度も通ううちに、やっと二人が話すのを見るようになった。業務についての短い会話。目は合っていなかったが、息苦しさは少し軽くなったように感じた。

そのうちに、二人が微笑むようになった。相変わらず目が合うのは一瞬だが、会話が何度か続いたあとに二人がフッと笑う。
心無しか、青年がテキパキと働いている。
私は確信した。

変化は早かった。二人はレジで助け合う。一人が打つ、一人が袋に詰める。
列が出来ると「こちらへどうぞ」と爽やかな声。店が、変わった。
二人はいつも同じシフトで入るようになった。彼女も仕事に慣れてテキパキ働く。高い所にあるものを彼が取ってあげる。レジの中でぶつかりそうになって、二人で笑う。

そしてその時は来た。
「いらっしゃいませ」の声に、余裕を感じた。
明るい。明るいが、もうはしゃいではいない。
二人はカップルになったのだ。

祝福の気持ちがこみ上げる。
笑顔で接客する二人が眩しい。
客が少し目を離すと、至近距離で見つめ合ったりしている。
出来立てホヤホヤである。

カップル夜勤は続いた。
そのうちホヤホヤも日常になり、若い夫婦のような雰囲気になった。二人でコンビニを始めれば良いかもと想像が膨らむ。
そのうち片方だけ出勤の日もあるようになった。同棲でも始めたのだろうか。
そのうち二人が揃っても笑わなくなった。喧嘩でもしたのだろうか。
そのうち、とても静かになった。
そして彼女が店を辞めた。

青年はその後しばらく働いたが、やがて辞めた。

二人は今、どうしているだろうか。
あの日々を私も勝手に忘れられない。


◇夢のコンビニ
駅前に小さなコンビがある。小さいが駅前なので、急いで飲み物を買う人などで常に人が流れている。
ある時期、この店のスタッフには個性派が揃っていた。

制服こそお揃いのものを着ているが、それぞれのスタイルはそれぞれの個性そのままに働いていた。
アトムの頭のような形に髪を固めている青年がいた。顔にピアスが一杯の女の子がいた。真緑の髪の女性がいた。他にもいろいろ、細部は忘れてしまったがほぼ全員個性派のビジュアルだったと思う。
コンビニに入ったら店員が全員キャラクターだった、大袈裟に言うとそんな感じであった。

店長はさぞ懐の深い人物なのだろうと思い、日々探した。
しばらく観察すると店長がわかった。がっちりとした体格の、柔和な笑顔の男性。彼のスタイルはさほど個性派ではなかった。

みんなどうしているだろうか。
揃って違うコンビニで働いていたら良いなと夢見る。


◇やきそば
その高校生とそのおばちゃんは、同じコンビニで働いている。

高校生はいつも厚いジャンパーを着ている。
もともと大柄な上に厚いジャンパーを着ているので、パンパンである。
風邪気味で鼻をすすっていたり、レジで何かを迷っていたり、彼には放っておけない何かがある。ジャンパーも、規定外かも知れないが「いいから着ていなさい」と誰かに言われているに違いない。

おばちゃんは、小柄でおかっぱ。体重は鼻水くんの3分の1くらいかも知れない。「いらっしゃい」という声は抜群の安心感。親戚の中に居たらきっと助け舟を出してくれるだろう、という雰囲気である。

夜にアイスを買いにそのコンビニに入ると、鼻水くんがちょうどカップやきそばにお湯を注いでいるところだった。休憩に入るようだ。

アイスを持ってレジに向かうと、おばちゃんは奥で水仕事、横のシンクでは彼がやきそばの湯きりをしていた。切ったお湯から湯気がたつ。
私に気付いたおばちゃんが「ハーイ」と振り向き手を拭こうとした瞬間、鼻水くんが「いらっしゃいませ」とレジに来た。

休憩前なのにサッとおばちゃんと代われる彼。なかなか良い奴じゃないか、と思っていたら、後ろでおばちゃんが、開いたままだったのカップやきそばのフタを閉めてあげているのが見えた。めくれないよう、上にソースの袋を載せている。
背中合わせの二人。
いいコンビである。

2020年4月8日水曜日

下北沢には石川湯がある

下北沢には、国外問わず色々な場所から人が遊びに来る。目的は様々、ライブ、古着、劇場、メガネ、お目当てのパンケーキ。
一日居ても見る物に困らないし、疲れたら喫茶店も充実している。ああ今日も楽しかった、と何度か思ったら、思い切って銭湯へ。下北沢がもっと身近になるはずである。
と言う訳で今回は、下北沢の銭湯について書いてみる。

◇石川湯
下北沢には、「石川湯」がある。今は下北唯一の銭湯と言っても良い。
オシャレな街と言われる下北沢だが、まだ風呂無しアパートも多い。層の厚い街・下北沢に銭湯は欠かせない。

茶沢通りを東北沢方面に進み、交番を過ぎ、お地蔵さまのS字カーブを過ぎて1本目を右に曲がると、右前方に石川湯の煙突が見える。
店の表には、手書きの今月のスケジュール(定休日や日曜の変り湯の内容)が貼られ、ガラス窓の奥は季節の飾りつけ。なんともアットホームな構えである。

ここは、いつも清潔である。
床も鏡も洗面器も、いつもせいせいしている。
お客も自然ときれいに戻すので好循環。
年輩メンバーは夕方、若者は早い夜、働き盛りは夜遅くに来る。たまに部活帰りの高校生集団も来る。「こんばんは〜」と言って入って来る人も多い。みんなのお風呂である。
天井もさほど高くない、タイルのモザイクも無い、壁の富士山もないが、このみんなのお風呂は圧倒的に居心地がいい。
「石川湯」。ここにに行ったら下北の仲間入りである。


※何年か前までは一番街に「八幡湯」というレトロな銭湯があったのだが、長年の営業に幕をおろし、今は古着屋「New York」としてオシャレさんが集う場所になっている。天井、壁、床などは八幡湯の内装をそのまま活かしており、そのユニークさがオシャレに拍車をかけている。
かつての洗い場床のタイルを靴で踏んで歩くと、してはいけないことをしているようで楽しい。

下北沢の駅前にいる人

下北沢。小田急線と井の頭線の交わるこの駅を降りてブラブラすると、だらしない時間の流れにおぼれることが出来る。演劇、音楽、古着、カレー。好きなようにやればいいさ、なまち。
今回は下北沢の駅前にいる人について書いてみる。

  • アルミ鍋の人
  • 呼び込みの人
  • 市場の店主
  • 座っている人


◇アルミ鍋の人
アルミ鍋の人が今日もいる。
大きくて、くぼみが沢山あって、半球形のその鍋を、彼は無表情でたたいている。下北沢東口の井の頭線高架下が彼の場所らしい。

めったに見かけない楽器なのでカップルが足を止めるが、これといった盛り上がりや終りが無いので、しばらくすると離れていく。

かくいう私も足を止めて聴いた事はない。電車で帰って来て「いるな」と思い、三省堂で立ち読みしてからオオゼキで買い物をして、ATMに戻ったついでにマクドナルドでポテトを買って食べながら駅前に戻ると、彼の演奏はまだ続いている。

長い。気が遠くなる。
彼は今日何時間演奏するのだろう。
あれは彼が作った曲なのだろうか。他の誰かが作った曲なのだろうか。
「しまったいま間違えた」と思う事はあるのだろうか。
カップルが立ち去る時、何か思うのだろうか。
いつか立ち去らない観客が現れたら、彼の演奏はどうなるのだろうか。
変わらないのだろうか。
変わるのだろうか。

何故かあまり変わらないで欲しい。
もうファンなのかも知れない。

※楽器の名前はスチールドラムと言うらしい。アルミではなかった。


◇呼び込みの人
無料のお笑いライブに、誘われた事がない。

「このあと7時から、無料のお笑いライブやりまーす」
という呼び声は、もはや下北沢北口夕方の代名詞となりつつある。
多い時は20人位、道の両側で呼び込みをしている。昼間にどんぐり広場で練習していた二人もここに居るのだろうか。

「お笑いライブ、どうですかー?」「7時からでーす、無料でーす」
お兄さんたちの声が響く。
「あ、お姉さんいま帰りですか?」
これはと思う人には、個別でも声をかけているようだ。
「無料のお笑いライブ、どうでしょう?」
誘われた若い女性たちが、「えー」と恥ずかしそうに笑う。
「無料なんすよ。7時から。どうすかお姉さん。え?待ってまーす!」
女の子たちは隅の方で、「どうする?」とささやき合っている。
楽しそうである。

もし私が声をかけられたら、と考える。
声をかけられたら、「え」と少し驚いて、「じゃあ、ちょっとだけ」と言う。
会場に入ると独特な雰囲気。なるべく隅の席を確保する。
ライブ中、万が一誰も笑っていなかったら、笑おう。
始まると沢山のチームが入れ替わり立ち替わり登場し、それぞれ持ち味を出せたり出せなかったり。
が、懸命にステージを努める姿には自然と笑みが湧いてくる。
ライブが終わる頃には、彼らへの親近感すら感じ始めた。
終了後、「ありがとうございました」と元気に送られ、照れ隠しでそそくさと会場を出る。家に帰ってビールを飲みながら思い出し笑い。
後にメンバーの誰かがテレビに出ているのを見て驚き、陰ながら応援する。友達に、「この人のライブ見たことあるんだ」と自慢して、「前も聞いたよ」と言われる。

誘われる準備は出来ている。


◇市場の店主
作ったものを売る人がいる。
週末、東口附近の広場に小さな店が30店舗ほど出て市場となる。
売られているのはハンドメイドの革小物、アクセサリー、犬の洋服など。
買わずとも、それぞれの店主のこだわりで作られたものを眺めて歩くのは楽しい。

気になるのは、日差しである。

駅前開発が進み、広場への日光を遮るものはほぼ無くなったと言ってもよい。市場は一日中太陽に照らされ、店主たちは眩しそうに目を細めながら商品の説明をしている。夏場は暑かろうと心配になる。夕方みずほ銀行の影が広場に向かい始めると、見ているこちらがホッとする。日よけのテントを立てる様子はない。立てれば良いのに、と部外者は思ってしまうが、そこには何かの理由があるに違いない。

平日の夜、仕事から帰った店主は、ひと息つくと作業台に向かう。
自分のアイデアを形にするこの時間は何物にも代え難い。
作業は細部にわたり、つい深夜を過ぎてしまう。ボサボサの頭で仕事に行き、仕事中も作品に思いを馳せる。
考え、手を動かし、失敗しつつも時間をかけ作り上げた作品の数々。
週末市場に並べるラインナップが揃った金曜日の夜、作品を前に一杯やる店主も少なくない。

そして週末の広場。店主は作品を並べる。
門出、晴れの日である。別れの盃は済んでいる。
太陽の下が良いに違いない。

そしてやっぱり暑いに違いない。


◇座っている人
夜遅くに東口改札を出て顔を上げると、座っている人達がいる。
この広場にベンチは無いので、車止めの柵や段差に、段差が埋まると平らな地べたに、結構な人数が座っている。

夜中に駅前で座っている光景は他の駅でも見られるが、下北沢の特徴は、年齢層が幅広い事ではないだろうか。10代から60代までいると見える。

行き場が無い訳ではない。喫茶店、カラオケ、居酒屋、夜でも空いている。
何より帰ればいい。大人なのだから。
でも地べたに座るのである。

車座で熱心に話している30代。
「うわ、このトレーナー臭いよ」などと叩き合う40代。
飲みまくる50代。
ダジャレがとまらなくなる60代。

ライブ帰りだろうか。劇場の帰りだろうか。実年齢に関係なく、彼らは高校生のようである。

「若者の街・下北沢」
受験生は来てはいけない。